レーシック手術後4割余りで不具合?

医療情報に限っても、時には不正確な情報が患者さんを惑わせることがある有名な事例をご紹介します。

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消費者庁によるレーシック手術に注意呼びかけ(!?)

2013年12月5日のNHKニュースで「レーシック手術後4割余りの患者さんが不具合を訴えた」という内容の報道です。(現在NHKの記事は削除されています)

どのような集計方法を取ったのかはわかりませんが、「4割」という数字の内容が詳しくわかりません。諸外国のレーシック手術データと比較して、明らかに「4割」という数字は大きいように思われます。
術後一過性で数日から数週間で解消する後遺症とならない問題も含めて、過剰に反応している可能性があります。そもそもそれ程問題が大きいのであれば、医療機器として認可した厚生労働省の責任問題にもなりかねません。

参考までにレーシック手術後の合併症の発生は、米国の統計でも全体の1%以下に過ぎません。しかも、いずれの合併症も失明に至るようなものではなく、時間を置くか、治療によって回復可能です。先のNHKニュースの「4割」という数字に、眼科専門医が疑問を持つ医学的根拠の一つです。

利点と欠点を理解して治療を決定

しかし、どのような手術にも利点と欠点があることは事実です。利点が欠点を大きく上回る場合に手術適応として患者さんに手術を受けるかどうかを最終判断していただきます

レーシック手術で報道のような多数の問題が生じたということであれば、一番考えられるのは角膜を過剰に切除した可能性です。近視が強い人ほど、近視を減らすためにはレーシック手術では角膜の切除量が大きくなります。たくさん削れば、角膜がより薄くなるわけですから合併症の危険性も増える、この点は容易に理解してもらえると思います。

そのため当院では近視の強い方はレーシック適応外としています。日本のガイドラインではー6ジオプターまでをレーシックの適応基準と規定しています。場合によっては、それより軽い近視-3~-4ジオプター(裸眼視力0.1弱くらいの方が多い)であっても角膜が薄かったり形状の不整があるなど、問題が認められるとレーシックをお勧めできない場合もあります
レーシックで角膜を一度削ると元には戻せないため、適応外の近視の方には、角膜を削らない「眼内コンタクトレンズ(フェイキックIOL)※」が安全と考えられます。特殊なコンタクトレンズを眼内に移植するだけですので、何か問題が生じた場合はレンズを取り出せば元の状態に戻すことが可能です。

※2010年2月にICL、2014年3月にホールICLが厚生労働省の認可を取得しました。

マスコミはもちろん、ネット情報を判断することの難しさ

様々な情報が錯乱する現代では、時としてどの情報が正しく採用に値するのかの判断が難しい場合があります。医療情報に関して言えば、このような時には該当する治療を実際に行っている複数の医療機関で説明を聞き、疑問点があれば理解できるまで質問することをお勧めします。それでも100%とは言い切れませんが、ネットでの匿名記事を信用するのを避けるべきであることは言うまでもありませんが、実名を出していてもどのような立場で発している意見であるのか、検討してご自身の理解の参考になさって下さい。

例えば「カルシウムを摂るために牛乳を飲みましょう」という意見を、信じている方は多いことと思います。本件については、既に以前のコラムで解説していますので、ご参照いただき皆さんの判断材料になれば幸いです。(→ 「それでも牛乳飲みますか」)

私自身は、ある時を境に牛乳を飲むことを止めて、ヨーグルトなどの乳製品を可能な限り減らすようにすることで体質改善を実感した経験をしております!

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